「ソーシャル・ネットワーク」


やっぱり会社に行きだしたとたん更新ペースががくっと落ちるからだめである。これもすでに1週間前に丸の内ピカデリーで観ていたのですがようやく書きます。わたしもふくめて'90年代に青春を過ごした映画好きの多くにとってデヴィッド・フィンチャーの名前は特別な響きがあるのだと思いますが、冒頭から呆気に取られるほどの超高速ダイアローグ、巧みな編集に支えられたトリッキーな構成(オスカーではまちがいなく編集賞を獲りそう)、まるっきり自然な双子にしか見えないアーミー・ハマーの1人2役など彼らしいスキルフルな作劇に彩られているのに全体として与える印象が驚くほど普遍的に映るあたりに、演出家としてのひとつの到達点を見たような気がします(とか、ついついえらそうにつぶやいてしまうのもリアルタイムで追いかけてきたからこそ)。これは「市民ケーン」×ジョン・ヒューズの学園映画であるという自身の説明はとても納得がいくもので、ただかつてはヒエラルキーをひっくり返すところに生まれていただろうカタルシスが今日ではまったく違うエモーションにすり替わっている。大学社会でもビジネスでも王道を行こうとしたエドゥアルド(アンドリュー・ガーフィールドかっこいい!)と最短距離で駆け抜けた結果彼を裏切ることになるマーク(ジェシー・アイゼンバーグの造形がほんとうに的確)。大人になるということはスピード感が落ちるということなのかもしれないけれど周りの景色が見えないほど加速したらもう止めることができない。哀しい青春期の終わりをよそに名鑑(フェイスブック)は際限なく膨れあがっていくのでした。ジャスティン・ティンバーレイクも当代一のポップスターらしい軽みと引力を存分に活かしていてすばらしかったです。

帰りは銀座キャンドルでカキフライ。