新春浅草歌舞伎

新春浅草歌舞伎の第二部、「壺坂霊験記(つぼさかれいげんき)」と「黒手組曲輪達引(くろてぐみくるわのたてひき)」を観に行きました。

雷門は成人式のせいか人がすごかったー。

左から片岡愛之助中村亀鶴中村七之助市川亀治郎


黙阿弥作の「壺坂霊験記」は盲目の沢市と妻のお里の心中と再生の物語。お里役の七之助がとてもよかった。いっしょに行った母と知人は数年前玉三郎と踊っているのを観て正直きびしいと思ったそうですが、あのときとはくらべものにならないくらい上達していると驚いていました。わたしも半年まえに観た「義経千本桜」での静御前はすこし線が細い気がしたのだけど、今回は悲嘆のなかに強い覚悟がにじむお里をしっかりと演じきっていた。沢市役の愛之助海老蔵の件でへんに話題になってしまいましたが、もともと上方ではたいへんな人気者ということでいちど生で観てみたいとおもっていたひと。これは人気なのもわかるなー。メインの4人中いちばん端正な顔立ちをしていますが実際坊主のかつらをかぶっていてもいけめん!終盤の軽妙なお芝居はなんとなく二代目中村鴈治郎(わたしは映画の中でしか知らないけれど)を思い出しました。

つづいて「黒手組曲輪達引」。序幕は亀治郎の二役早変わりもお見事ですが、まさかの「龍馬伝」ネタが出てきて客席大盛り上がり。古典派は眉をひそめそうですが初心者にはこういうくだけた演出もありがたいです。二幕目以降は随所に歌舞伎十八番助六」のパロディが盛り込まれるのですが、元ネタを観たことがないのでイヤホンガイドの「ここは可笑しみを感じさせます」という紹介にも「はあ」という反応しかできない自分が悲しかった。でも最後の水入り(亀治郎演じる助六が敵から逃れるために本物の水が張られた巨大な桶に飛びこむ)は最前列の観客が水しぶきを浴びないようにビニールをかぶったり、恋人の揚巻(七之助)が豪華な花魁姿のまま駆け寄ってきたり(水びたしになった衣装はあれきりなんだろうか・・・)と派手な仕掛けでたのしめました。助六の父の仇・新左衛門役の亀鶴は上背があるので立ち姿が見映えよく、ときに亀治郎を食っていた。

帰りのロビーには日本髪を結ったうつくしい芸者衆の方々がいてじーっと見てしまったり、新年の晴れやかなひとときでした。