「白いリボン」


水曜日なので会社帰りに銀座テアトルシネマで観てきました。パルムドールに輝いた全編モノクロームのミヒャエル・ハネケ新作。素直に書いてしまうとわたしこの監督の映画ほんとうに苦手。たいへんな力量のあるひとだとは思うのですが、今さらわかりきっている人間の醜怪さについてまるで新大陸でも発見したかのような大仰さで描くところがどうしても好きになれなくて、今回もその印象はあんまり変わらないのだった。時代の闇が絡んだ謎解きメインではないサスペンスという意味で前作「隠された記憶」の延長線上にある気もしますが、あちらが埋没した過去を暴いていったのに対して、こちらはのちのファシズム台頭への予見をふくんでいます。一見あどけないようでよく見るとツヤもハリもない子どもたちの肌が彼らの置かれた環境を端的に表している。個人的にはシアーシャ・ローナン似な村医者の娘役の子がいちばん印象に残りました。でもその村医者が長年の愛人である助産婦を口汚く罵る場面は正直げんなりしてしまった。村医者にというよりこういう台詞をふつうに書いてしまう作り手に。それはかつて「ピアニスト」を観たときに感じた嫌悪とたぶんおなじ種類のものだとおもう。

映画のまえの腹ごしらえに西洋銀座の地下でラザニアを食べました。薄く切ったゆでたまごが入っていてボリュームがあったなー。